不動産投資が初めての方がよく疑問に思う質問「維持費(ランニングコスト)」についてです。
収益用不動産は少額でも数百万円、高いものだと数億円~数十億円とかかるものまであります。金額が大きいので、自分たちが生活するときにかかってくる食費・光熱費のような金額よりも一度に動くお金が大きくなりがち。
大体こんなもんだろう・・などとした調べ無しに高を括っていると、まとまって請求が来た時などに痛い目に合うかもしれません(不動産を購入した翌年には不動産取得税もかかってきます)。
今回は不動産投資をするうえで必要となる維持費についてまとめてみました。
目次
大きくかかる維持費の項目は3つ
投資用不動産にかかってくる維持費は大きく3つです。
- PM(プロパティマネジメント)費用
- BM(ビルマネジメント)費用
- 固定資産税・都市計画税
ひとつずつ解説していきます。
1.PM費用(一般管理費)
PMとはプロパティマネジメントの略で、一般的にイメージする賃貸管理費のことです。相場はだいたい家賃の3~5%前後です。
業務内容としては、空室部屋への賃貸付け(リーシング)、契約締結業務、入居者のクレーム対応、賃料の回収、入居者が滞納した際の督促、設備が故障した際の工事発注・管理、オーナーへの定例報告など、賃貸管理全般を指します。
たまに専業大家さんや、持っている物件の戸数が少ない人などは自主管理していたりしますが、ぶっちゃけ大変ですので、この辺はほぼ必要経費と考えて良いかと思います。
例えば総額5,000万円、表面利回り8%程度の木造アパートの場合、満室時の年間家賃は400万円。つまり相場換算で、年間で約12~20万円ほどがPM費用になります。これに追加で空室がある時には部屋募集をし、入居者が決まったら家賃の約1ヶ月分の費用を仲介会社に手数料として支払うイメージですね。
2.BM費用(建物管理費)
BMとはビルマネジメントもしくはビルメンテナンスのことで、建物自体の管理費のことです。業務内容としては定期清掃、エレベーターなどの設備点検・管理、消防点検、防犯・消防点検、ゴミ回収、植栽管理費用などです。
区分マンションでいうところの管理費・修繕積立金がこのBM費にあたるものですね。
賃貸管理などソフト面の管理がPM、建物管理などハード面の管理がBMという事です。
ここのBM費用については、築年数や構造、戸数などの物件状態に大きく左右されてくるので、「だいたい物件価格の○○%」などとまとめるのは難しいですが、、15年周期で外壁塗装・給湯器交換などの大きな修繕が発生してくる想定で蓄えていった方が良いかと思います。
築年数が経つと賃料が下がってくるので、賃料の○○%などと表記するのも難しいですね。経過年数が大きいほどかかってくるイメージでいた方が良いですね。
3.固定資産税・都市計画税
不動産を保有しているだけで固定資産税が発生します。都市部であればこれに加えて都市計画税がかかります。これらを合わせて「固都税」と呼んだりします。
固都税の税率は、固定資産税評価額に対して約1.7%です。
【固定資産税評価額】国土交通省が定めていて、土地の公的価格や家屋の時価を表すものとして3年ごとに価格が見直されています。固定資産税を算出するときに用いられるほか、不動産登録税や不動産取得税を計算する際にも使われる金額です。
購入した金額の1.7%くらいかかるとなると、都心など立地の良い不動産だと毎年結構イタイ額の課税になりますが、実際のところ、課税標準は購入価額よりは控えめで、実際の売買価格に対して、課税標準額(固定資産税評価額)は70%程度です。
アパートの場合、「小規模住宅用地」として課税標準額が6分の1(戸あたり200㎡まで)になるので、大幅減税出来たり、新築物件にも減免があったりします。
おおよそ中古物件の場合、固都税額は購入金額の0.5%~1%程度になります。
ちなみに不動産の構造には、木造、鉄骨造(軽量鉄骨、重量鉄骨)、鉄筋コンクリート造など、いろいろ種類がありますが、一般的には木造の方が建物自体の評価が低く出やすいために、この固都税は安い傾向にあります。もちろん建物としての価値(再調達価額)の高い鉄筋コンクリート造の方が固定資産税も高くなりがちです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。年間にかかってくる維持コスト割合は大きくないですが、不動産販売価格が大金なので、ほんの数%でもなかなかな金額になります。
遺産相続などの相続案件で、割安な不動産情報が入ってきやすい理由は、不動産に対して知識のない相続人が、毎年かかるランニングコストにびっくりして手放すから・・何て事も結構あるのです。
まったくの備え無しで、入ってくる賃料をそのまま贅沢に使っていると一瞬でヤバい事態になりかねません。不動産投資をするような方はマネーリテラシー的なものが平均よりかなり高めなので、あまりそんな事態にはならないとは思いますが念のため。
今回は不動産を保有する上でかかってくるランニングコストについてまとめてみました。