少子化の影響で、大学も運営を続けるのが厳しい時代です。
私も楽待で見つけた
・大学から徒歩1分
・1年以内に大規模修繕済
・満室のアパートが値下げして高利回りになっていたので、
『買いじゃん!』と思ったけど、
大学のウェブサイトに『学生募集停止』の情報がありました。
— 競売ハンター@珍物件&珍事件 (@Hmru5j6AgwB5CzU) January 8, 2020
旧帝大は、そのような心配は比較的少ないかと思いますが、九州大学のように『キャンパス移転』というリスクだってあります。
あれで割りを食った大家さんも多いのではないでしょうか。
いずれにせよ、大企業・学校近辺の物件を投資用に購入する際には、企業や大学の広報も確認する必要があります。
— 競売ハンター@珍物件&珍事件 (@Hmru5j6AgwB5CzU) January 8, 2020
目次
一つの賃貸需要だけに依存するのはリスク
投資用一棟アパートなどを探している際に、「大学そばにつき学生需要がある物件です」や「周辺工場多数につき、高賃貸需要!」などといったアパートを見たことのある人は多いのではないでしょうか。
こういった特定の施設などに賃貸需要を依存している物件は、それらの施設がある間は良いですが、それらが移転や閉鎖などによってなくなってしまうと、突然に入居付の難しい物件となってしまいます。
大学ではないのですが、少し前に話題になった事例があるので、ご紹介します。
不動産投資界隈では知っている人も多いアパートです。
キヤノンの製造工場の賃貸需要だけに頼った挙句、工場の一斉撤退により、お家賃が月額1000円になってしまったアパートがあります。
退去時の原状回復費用だけで今までのお家賃分吹っ飛びそう。 pic.twitter.com/aehluXMyrV
— MATSUD0 (@MATSUD0) January 8, 2020
高度経済成長期期、キヤノングループの製造工場があり、そこで働く従業員向けの賃貸物件が次々と建設されたが、その後、工場の撤退で多くの非正規従業員が失職。アパートの空室が増加し、融資先であるJA杵築は経営難に陥り、JAおおいたに吸収合併。
今でも同市の物件を扱う不動産サイトを見てみると、話題になった物件以外にも月1万円を割り込んだ破格の低家賃で賃貸に出されている物件が複数掲載されています。
参考→アットホーム
該当物件は現在ほかの部屋が月額0.75~0.85万円で賃貸募集をしていますが、、管理費込みで月額1万円ちょっとの収入だと退去時の原状回復費用や、新たな入居者の募集費用、年間の固都税の支払いで全部消えてしまう・・どころか、むしろ収支がマイナスな気がします。さらにローンなんか組んでこれを買っていたら・・。なかなかに悲惨。
大分の杵築市
相場が崩壊して知る限り一番家賃が安い地域
こうなるとレンタルスペースとして貸したほうが高く貸せそう(その需要もないのかもしれないけど https://t.co/M66eAlCpta
— 肉欲棒太郎 (@nikuyoku_kikaku) January 9, 2020
ここまで賃貸需要が無いっつーのもスゴイけど、
何にも無い田舎の丘陵地とかの一角にミニ工業団地みたいなの見かけるよね。出来た頃はお金にならない土地がリースバックとかで賃料生んで、さらに住まわせて家賃入って地主さん潤うんだろうけど…
撤退されたらこんな風になるのかぁ…って寒くなったわ— リーマン大家の嫁 (ヨメちゃん ダヨ!) (@OH_YEAH_no_YOME) January 9, 2020
賃貸需要に限らず、何事もそうですが、一つのものに頼るのはなかなかにリスクがあるという事を考えさせられる(良い)事例です。
加速する大学の都心回帰
高度成長期は郊外にキャンパスを移転する大学も多くありましたが、近年の少子化の影響もあり、多くの大学が東京23区内へのキャンパス移転を発表しています。
この都心回帰の流れは学生のニーズを反映したものと考えられるので、今後も郊外のキャンパスは人数が減る傾向が続く可能性があります。
中央大学:東京都多摩市→文京区へ
中央大学法学部の都心展開について、法学部が文京区大塚一丁目(最寄り駅:地下鉄茗荷谷駅)の新校地と後楽園キャンパスへの移転が決まりました。
文京区大塚一丁目の新校地については、法学部の使用施設のほか、地域貢献として文京区施設も予定しているようです。
他にも国際情報学部(入学定員150名)を市ヶ谷田町キャンパスにて開設。大半が多摩にあった中央大学も、少しずつ都心回帰を始めています。
東京理科大学:千葉県野田市・北海道長万部→東京都葛飾区へ
東京理科大学も難関大学として知られる大学ですが、薬学部を野田キャンパス(千葉県・野田市)から葛飾キャンパスに移転させ、今後の新学科なども葛飾キャンパスを中心として展開していくことを計画しています。
【再編の概要】
①2025年4月に、薬学部(薬学科及び生命創薬科学科)及び大学院薬学研究科を野田キャンパスから葛飾キャンパスに移転する。
②基礎工学部の学部名を変更し、理学部第一部応用物理学科を物理工学科(仮称・440名)に改組転換し統合する。また、2023年4月に、機能デザイン工学科(仮称・440名)を新設し5学科体制とする。
③改組後の基礎工学部は、1年次の長万部キャンパスにおける全寮制教育を解消し、葛飾キャンパスにおいて4年間の一貫教育を行う。長万部キャンパスは、国際化のための教育の場として活用するべく検討を進める。
※上記の計画実施に伴い、野田キャンパスの学部学生収容定員の一部(薬学部1,000名、理工学部320名)が葛飾キャンパスに移る。また、長万部キャンパスの基礎工学部1年生(360名)についても葛飾キャンパスに移る。
文教大学:神奈川県茅ケ崎市→東京都足立区へ
文教大学は東京都足立区と連携し、、湘南キャンパスに設置している国際学部と経営学部の全学年を一斉に2021年4月に東京あだちキャンパス(仮称)に移転するとのことです。現在、茅ケ崎市にある湘南キャンパスの国際学部(980名)と経済学部(660名)の学生、計1,640名ほどの学生が、東京都足立区に移動することになります。
ほかにも。。
同志社大学に頼りっぱなしの京田辺に賃貸をお持ちの大家さん、ひとごとじゃないですよ! https://t.co/ilANZr2eyw
— 山科はうこ (@hautannn) January 9, 2020
これは移設などではないですが、大学の学生だけに賃貸需要を依存しているエリア、いろいろと思い浮かぶところも多いんじゃないでしょうか。ほら、「○○大学前」みたいな駅名がついているようなやつですよ・・!(結構例外アリ)
まとめ
今回は、一つの賃貸需要にすべて依存するのは危険だという話でした。
新たに不動産を購入する際や、既存の保有物件についてもこれを機に、賃貸需要を見直してみるのも良いかもしれません。
インターネットで周辺の賃貸相場を調べるのも良いですし、最寄り駅や周辺の不動産屋さんに賃貸の問い合わせをするなどするも良いかと思います。割とちょっとしたことで今まで見えなかったものが見えてくることもあります。
それでは、良い不動産投資を。