最近、不動産投資家の方からよくベトナム不動産について耳にします。大半が興味を持っている程度ですが、まれに実際に保有している方もいらっしゃったりと、徐々に。
そんなベトナムの不動産事情について、データを基にメリット・デメリットなど日本と比較して気付いた特徴をまとめてみました。
目次
ベトナムの概要
ベトナムはASEAN第三位の人口規模を持ち、南北に長い国土を持ちます。共産党一党による社会主義体制で、宗教対立が少なく、政治・社会的に安定した国です。
国名 | ベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Vietnam) |
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面積 | 33.1万平方キロ―メートル(日本の0.88倍[日本の九州を除いた程度の大きさ]、世界66位) |
人口 | 約9,370万人(世界13位) |
名目GDP | 2239億米ドル (2017年) |
言語 | ベトナム語 |
宗教 | 無宗教:約73.2%、仏教(大乗仏教):約12.2%、カトリック:約6.8%、カオダイ(新興宗教):約4.8%、プロテスタント約1.5%、ホアハオ教:約1.4%、その他 |
政体 | 社会主義共和制、一院制(定数500名)→ベトナム共産党の一党体制 |
指導体制 | 書記長:グエン・フー・チョン(2011年1月就任)、国家主席:グエン・フー・チョン(2018年10月就任)、首相:グエン・スアン・フック(2016年4月就任)、国家議長:グエン・ティ・キム・ガン(2016年4月就任)。以上、トップ3名による共同指導体制。 |
主要な都市の情報は以下の通りです。
ベトナムと日本は「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」の下、政治から経済、安全保障、文化・人的交流など幅広い分野で連携しており、ベトナムにとって日本は最大の援助国となっています。在留邦人も年々増加の傾向にあるようです。
さて、そんなわけでベトナム不動産投資のメリットを挙げていきます。
1、人口が多く、伸びしろがある
ASEAN第3位の人口ながら、一人当たりのGDPは2014年にやっと2,000米ドルを超えたばかり。平均年齢は30歳弱で、全人口の中で若年層(15-34歳)が占める割合は約3割で、なおかつ分布的には拡散傾向にあります。
全世帯に占める中間層・富裕層の割合は2025年時点予測値で約60%と、まだまだこれから伸びしろがあります。また、金融機関に預けられていない資産(いわゆる巨大なタンス預金)により、統計数字以上の購買力が眠っています。
また、上記の表から分かるように、全世帯に占める中間層・富裕層の割合は。2025年時点の予測で約60%と、まだまだ伸びしろがあります。今後10年で、ベトナムは中間層・富裕層の割合が約1.7倍に増えてくると思われます。
ベトナム人は、金と米ドルによるタンス預金率が高い
ベトナムは自国通貨に対する信頼が低いため、安全資産として金を保有している層が多いです。ハノイ市での調査結果では、戸籍上で3分の1に相当する人が金を購入し、財産として保有している様です。
金と米ドルによるタンス預金の規模
ベトナム銀行ネットワークと国民が保有する金の量は約300~1,000トンと、120~400億米ドルに相当し、2014年のベトナムGDPの約6~22%に相当するようです。うち、国民が保有している米ドルは、約10億米ドル程度。
ベトナムは巨大な金と米ドルによるタンス預金(銀行に反映されないお金)が存在するので、統計数字だけでは購買力を測れない可能性を秘めていると言えます。
2.まじめで勤勉、かつ安価な労働力があります
生産年齢人口(15~64歳)の比率が上昇する時期を示す人口ボーナス期は、2015年に終了しましたが、初等教育の就学率は2006年に比べて大きく上昇し、識字率も約94.5%と高い水準をに達しています。ベトナムにはハイクオリティな労働人口が眠っています。
ベトナムは労働法により、週休2日制となっていますが、実際には1日+いずれかの日を午前休(午後休)のような体制をとっている企業が多くあるようです。このあたりは国として成熟してくると整備されてくるかとは思いますが、、現時点では、勤勉な若い労働力が多く存在していると言えると思います。
3.中国、タイにも近くアクセスが容易
ハノイなどベトナム北部は中国華南地域に、ホーチミンなどベトナム南部は、バンコクへの輸送に有利な場所に位置しています。
ハノイから中国国境までの距離は200㎞弱と、広州まで陸路で2日で輸送可能で、ホーチミンからバンコクまでは距離にして約1,000kmで陸路・空路で3日程度で輸送できます。
上の右図「各国との位置関係」ですが、ハノイ中心として1,000㎞毎の同心円が表記されています。約3,000㎞以内にアジアの多くの主要都市にフライトでアクセスが可能であるという、交通の利便性も今後伸びていく要因の一つかと思われます。
4.交通インフラが整ってきており、市場も開かれている
陸路、空路をはじめとする交通インフラと、生活インフラが徐々に改善してきています。電力不足による停電もここ2~3年は殆ど無い様です。
ベトナムは各種FTA(自由貿易協定)を多くの国と結んでおり、中国とは2020年に、ASEAN各国とは2018年までに関税の撤廃・削減が完了予定。韓国とのFTAは既に発行し、EUも原則で合意済みとなっており、各国との貿易による取引の活性化によって、より国力が高まってくる可能性を秘めています。
FTA(自由貿易協定)とは、2ヶ国以上の国・地域が関税、輸入割当など貿易制限的な措置を一定の期間内に撤廃・削減する協定である。締結国・地域間の自由貿易および投資拡大を目的として関税/非関税障壁を取り払う。北米自由貿易協定等の多国間協定と、2国間協定とがある。 (Wikipedia)
5.文化が日本と似ており、親和性がある
外から失礼します。拾い物ですが、このような対比表があります。
他にも
公園 Công viên(コン ヴィエン)などがありますね。 pic.twitter.com/2elYxR8lfy— がすけつᴀ.ᴋ.ᴀ.あめちゃん@1月末までホーチミン (@Gas_Ketz) September 16, 2019
ベトナムは異なる宗教に対する寛容度が高く、儒教的な考え方も根強くあるようです。言語も日本語と意味と発音が似ているものも多数あり、親和性の高さがうかがえます。
6.政治と経済が安定しており、安全
JETROによる調査では、投資環境上のメリットとして「安定した政治・社会情勢」の項目でベトナムは、アジア・オセアニア日系企業の中で第4位と、安定した投資先であると言うイメージが定着しつつあります。他のASEAN周辺国に比べて、政治や社会の安定性に対すて優位なイメージとなっています。
ベトナムにおける日本からのODA(政府開発援助)も、日本におけるベトナムに対するODAも1位と、相互に経済協力は重要な位置づけにあり、日本にとってもベトナムは重要支援対象国となっています。
まとめ
- 人口が多く、伸びしろがある
- まじめで勤勉、安価な労働力
- 中国、タイにも近くアクセスが容易
- 交通インフラが整ってきており、市場も開かれている
- 文化が日本と似ており、親和性がある
- 政治と経済が安定しており、安全
以上の様に、ベトナムはバランスの良さが光り、この先も安定的な成長が見込まれています。日本との親和性も高く、比較的投資先として検討もしやすいおすすめの海外不動産投資先として検討してみてはいかがでしょうか。