MATSUD0です。
金融庁が今年の4月に「人生100年時代における資産形成」と言うレポートが発表されています。レポートはこちらから。金融庁、日本政府から公式で出してきている資料です。
日本と取り巻く現状を海外と比較したデータや、年代別データなどの統計データが淡々と記載されていますが、結構衝撃的なデータも詰まってます。これらを項目別に見ていきます。
目次
日本の平均所得や所得代替率はOECDの平均以下。
日本の平均所得はOECD平均よりも低く、特に高齢者世帯の平均所得金額は欧米よりも大きく下回ってます。悪い言い方をすると「貰い逃げ世代」と言われている日本の高齢者の人たちの所得は世界的に見ると非常に低いみたいです。
所得代替率も低い。公的年金だけに頼ると、現役時代の手取りの3分の1程度になってしまいます。長生きするのであれば、これは貯蓄していないと、まともに生活出来ないですね。
「所得代替率」とは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合か、を示すものです。 たとえば、所得代替率50%といった場合は、そのときの現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取れるということになります。
OECDの平均もまぁ割と低めですが、平均所得が高いので、日本よりは現役時代に貯蓄しやすい気がします。
日本の高齢者の就業率は、諸外国と比べて高い
日本の高齢者の就業率は諸外国と比べて高いようです。特に56~59歳の男性の就業率は他の国に比べて群を抜いて高く、半数以上の52.9%が労働しています。日本の高齢者の所得が低いというデータが最初のデータで出ていましたが、一方で就業率は高いと。逆にヨーロッパの方は就業率が低いようで、ドイツは2割弱、フランスでは1割弱の人しか働いていないようです。
労働理由の一位からも見えるように、年金だけではお金が足りないんですね。「健康に良いから」「生きがいだから」と言うのも割合が高く、こういったポジティブな理由は良いですね。
日本の高齢者の資本所得の割合は低い
日本の高齢者の資本所得、つまり自助による資産形成で得られる所得が低いようです。やはり公的年金と労働収入に頼っている状況ですが、この体系は高齢化が加速している今の状況では難しいようです。
これについては他国もそこそこに割合が低いですね。もう少し労働所得の割合を下げて、資産所得を上げていかないといけない気がします。
現役世代(30~40代)の収入・貯蓄の減少
30代・40代の収入と貯蓄が減少していると悲しいお知らせです。現役世代については減少傾向で、なおかつ十分な資産形成が行われていません。家計貯蓄率も下がっていっているようで、OECD平均の約半分程度しかありません。
65歳定年で30年間暮らす際の不足する生活費は1.5~3千万円以上
SNSなどで「これは年金だけには頼れないよね」と、最も話題になった部分です。65歳でリタイアした際に世帯で必要となる生活費は9~11千万円。これを補うために、公的年金では約8千万円、退職金等で1~2千万円。のこりの1.5~3千万円を資産形成などで補わないと生活が成り立たないという事です。
これだけでも結構しんどい状況ですが、、これはあくまで現況での話、この先年金の支給年齢は徐々に引き上げられていくと思われます。今のペースで行くと…多分いま20~30代の人はリアルに80歳くらいからの支給になるのではないかと思われます。
80歳での試算だと、支給される年数も半分になるのでおおよそ6千万円以上は自己資金が必要になるかと・・・通常の労働所得一本では笑えない状況がやってきそう。
日本国内での運用リターンによる金融資産額の伸びが小さい
日本では運用リターンが欧米と比べてもかなり低いという報告です。平均所得や資産所得率の低さに加え、日本と言うのはマーケットで見た時にも全くパフォーマンスが出ないと言うことです。ク●商品という事ですね…。失礼しました。
日本の株式に投資しても増えないという事なので、それだったらアメリカの株式だとかインデックスに投資した方が増えていたという残念なお知らせです。今後もこれを打開できるような潮目は見えないので、このあがれは今後も変わらないと思われます。
日本の金融資産額の推移はアメリカの4分の1
先ほどの資料と連動しますが、日本では効果的な資産形成が行われていないという統計です。米国では資産運用することによって大体、金融資産額が8倍ぐらいに増えているんですが、日本では2倍にしか増えてないということで、ほとんど資産運用ができていない状態です。一方アメリカは、投資信託や退職口座などを利用して若いうちから資産形成がよくできていて、投資で結構稼いでいるので、それで豊かになっているのですね。
アメリカは義務教育のころから投資などマネーリテラシーを高める教育をしているんだとか。こういったところでも意識の違いが見えてきます。
つみたてNISA、iDeCoなどでの資産運用をしましょう
今までさんざんな日本の状況をまとめて来ましたが、ではどうすれば良いかと言うと、確定拠出年金と積み立てNISAをやれば良いんじゃないかと金融庁が言っています。これらはものによっては引き出し制限がかかりますが一定金額が非課税なので、税制メリットもあって資産運用には確かにおススメです。
つみたてNISA・iDeCoの普及率は約1~2%程度
iDeCoやつみたてNISAの普及率を示す図ですが、どれもほとんど利用されておらず利用率は全体の一番1%程度しかいないらしいです。100人に1人しかいないんですね。
定期収入があるような人はやっていると、税制面でもメリットがあるので、こういったものは確かに取り組んでいた方が良い気がします。
特につみたてNISAなんてものは、年間40万円が19年間で、累計760万円が非課税枠として計上できるので、早いうちから長期間取り組むことで最大限の税制優遇を受けることができる仕組みです。
自ずと「長期でコツコツ積立て」という投資方法になるので、これは「ドル・コスト平均法」という景気に影響を受けずらい安定した投資法です。これが良いか悪いかは別として、リスクを嫌う人にとっては安定した良い投資手法かと思います。
つみたてNISAの投資先
これは記事には直接載ってないですが、非課税枠などを利用して、分散投資をした方が良いかと思います。
日本株は最初に書かれている通りで、全然増えないので、海外の投資信託やインデックスファンド商品なども買っていった方が将来的な資産増加の期待値が高いと思われます。
投資用商品の中には、運用手数料などが高くつくよう高コスト商品などもあって、運用リターンを圧迫するようなものもあるのですが、積み立てNISAで投資できる投資先にはこういった高コストなものは極力排除された形になっているので、そういった意味でも安心なのかなと思います。
こういったつみたてNISAや確定拠出年金みたいなものは今後も拡充されていくと思われます。
NISA自体はもっと前ですが、つみたてNISAは制度が開始してまだ2年しか経っておらず、加入率もまだ1%です。
paypayやLINE Payじゃないですが、もうすこし税制優遇を効かせるなり、限度額を増やすだとかいった形で国民にしっかりと投資をしてもらうということをやっていくのではないかなと思います。
方針としてはこんな感じで、長期積立・分散といった形で、手数料もなるべく安くできるところを選んで運用していくと将来的な資産増加の期待値が高くなってくるかなと思います。
さいごに…
これらの資料は、つい最近出てきた「年金は実質破綻します」宣言の布石となっているような資料です。
年金が破綻というのはもう何年も前からわかっていた事ですが、実質の破綻宣言をしておきながら、これから先も年金を支払い続けろというのがなかなかしんどい要求かなと思います。
例えば日経の記事によると、日本の20代は2,000万円の払い損らしいです。「思ったよりみんな長生きするようになりました」という報告もしているので、下手したらもっと損になる可能性が高いです。
今後は年金の支給額が下がったり、支給年齢が、もっと後ろ倒しになってくると、受け取れる年金額ももっと下がりますしね…。
実質、今の若者は負け確定のク○商品を国に強制的に売りつけられている状態です。
ぶっちゃけた話、その損失の確定している2,000万円をそれぞれが投資にまわして支給年齢まで運用を続けたら、1億円に近い金融資産が作れる気がします。
不動産投資なんかでもそれを元本で融資を受ければ数千万円規模の投資用不動産を取得できるわけで、そのタネ銭をジワジワと高齢者に配当され続けている状況。
制度のせいなので高齢者は悪くないのですが、やりきれないですね。
実のところ、今のこの年金制度の状態…合理的に考えると年金を払わないで自分で運用に回す方が「賢い選択」だったりします(笑)。支払わない方が賢いって、もう破綻してますよね…。
実際、今の若者の約3割は年金を支払っていないというデータもあります。
徐々に年金制度を、廃止までは行かないものの、支給額も徴収額も減らしていく方向に向かうような気がします。
それぞれがそれぞれの将来を守っていく…これがこの先のトレンドとなりそうです。
かなり愚痴っぽい内容になってしまいましたが、実際問題はそんな感じであるということを念頭に置きながら、年金にはもう頼らず自分自身で資産運用していけるように、リテラシーを高めていきましょうという報告書類でした。