不動産を貸したり売ったりする人達にとって悩ましいのが、事故物件の扱いです。
孤独死、あるいは殺人などが賃貸物件で起きてしまった場合、それらをいつまで、そしてどの範囲まで入居希望者に説明するべきなのか、多くの人が悩むところかと思います。
そういった情報は入居希望者を遠ざける可能性があるけれども、一方では説明しなければ後々大きなトラブルに発展してしまうケースも考えられます。
目次
告知義務の曖昧なルール
大前提として、事故物件の告知義務に明確なルールはありません。
事故物件の告知の期間や範囲について、司法としての判断には、以下のような要因があり、それらが複雑に絡み合っています。
- 自殺・他殺などその事柄の内容
- 発見されるまでの経過日数や時期
- 規模や地元住民の認識具合
これら以外にも物件の利用目的なども影響を及ぼす可能性があります。
判断はそれらを総合的に踏まえたものであって、事柄によってケースバイケースであることに注意が必要です。
事故物件の取り扱いに悩む最大の理由は「明確な判断基準がないこと」にあります。告知事項有りの物件の告知期間は法律上、特に定められていなのです。
「自殺物件は●●年の告知が必要」というガイドラインが存在しないからこそ、どこまで説明すべきか迷うのです。
【心理的瑕疵物件】殺人や自殺の「事故物件」、国交省がガイドライン作成へhttps://t.co/oBlIYNGPTJ
「死後◯カ月以上たって住人が発見された場合は事故物件」など、できるだけ具体的な基準を示す方針だという。
— ライブドアニュース (@livedoornews) January 31, 2020
国土交通省が、殺人事件が過去に起きたことがあるアパートなど敬遠されやすい「事故物件」について、基準を明確にするためのガイドライン(指針)作成に乗り出すこというニュースが2020年1月31日にありました。今まで明確な判断基準のなかった事故物件について、表示基準を明確にするガイドラインが作られるのは良いことですね。
告知事項ありパターン〜期間〜
一般的には売主が所有している期中に告知事案が発生したものについて告知事項として広告するパターンが多いのですが、人によっては十数年以上前、かつ、何代も前の所有者の情報も告知してくれているパターンもあります。物件所有者によって様々です。
ただ、告知内容を意図的に入居者や買主に伝えないと、契約後に発覚した際に大きなトラブルに発展するケースもあります。自信が知っている告知事項に該当する可能性がある内容は、洗いざらい契約前に伝えておいた方が良いかと思われます。
告知事項ありパターン〜内容〜
告知事項有り❪心理的瑕疵❫のパターンと言えば、以下のようなものがあります。
- 自殺
- 他殺
- 孤独死
- 火事
この中で、よくあるパターンは孤独死や自殺です。
日本は少子高齢社会ですので、特に最近は孤独死のケースが増えているようです。デイサービスを利用している高齢者の孤独死であれば、定期的に見回りされているため、発見が早い事が多いです。
ただ、それ以外のケースであれば、周辺住民からの異臭の連絡を受けた管理会社が発見するようなパターンの場合は、室内の状態は悲惨なケースが多いようです。
そういう場合でも、売主さんが責任をもって現状回復+αのリフォーム・リノベーションをして賃貸付けができるような状況にしている訳です。
告知をしないリスク
こういった現所有者が所有している間に、こういう告知内容の事案が発生した場合には、経緯の説明をされるはずです。仮にこの説明がない場合、その後全く発覚することなく、次の方に引き継がれれば、それはそれで問題ないのかもしれません。
ただ、周辺住人やインターネットサイトなどから過去にあった事実を知る事になる可能性も十分にあります。

事故物件マップ(出展:大島てる CAVEAT EMPTOR: 事故物件公示サイト)
事前にしっかりと説明をしていなかった場合には「そんなことがあったと知っていたら絶対にこの家を買っていないのに・・」と、裁判沙汰になってしまうことになります。
だからこそ売買契約をする上では、しっかりと買主に事実説明をした上で「相場より安いし、物件状態も悪くないし、賃貸需要も高いから買います」などという方に双方が納得沙汰うえで売却をすることがベストなのです。
まとめ
隠していてもばれる可能性がありますし、ばれた場合にはかなり面倒なことになる可能性は捨てきれません。自分が知っている内容は、事故が起こった時期を問わず、買主・賃借人に対して最初から全てオープンにした取引をおススメします。