【豪雨死者200人に 警察庁】西日本豪雨で、被災地の死者が200人に上ったと警察庁が発表した。消防庁によると、12日午前5時半時点で約6700人が避難生活を余儀なくされている。 https://t.co/T6bVPqUgMt
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2018年7月12日
今こういうことを言うといろんな意見がありそうだが、岡山県真備町なんかは、ハザードマップで警鐘鳴らされていた。そこが想定通りになったという話です。あなたの自治体のハザードマップはどうでしょうか?洪水、土砂、津波。https://t.co/fdwfeUr7ms
— 長嶋 修 不動産コンサルタント (@nagashimaosamu) 2018年7月13日
先日起きた西日本豪雨の被害は200人以上の人が犠牲になりました。今回の記録的な豪雨について、気象庁は「平成30年7月豪雨」と名付けたそうです。
私たちの生活は常に自然災害と隣り合わせであることを思い知らされます。
そこで、今回は、不動産投資を行う上で、自然災害への対策をどのようにしていけばよいかと言ったハザードマップの活用について考えてみたいと思います。
目次
「災害リスク」を考える上での物件選びの難しさ
不動産投資を行う際、さまざまな投資リスクを背負うことになります。
特にアパート・マンション経営などの現物不動産投資の場合、どうしても保有不動産のある周辺環境(地形や周囲の自然なども含め)が投資効率に影響を及ぼします。
このように自分でコントロールできないリスクに関しては、事前に把握し、万が一の時の想定をしておく必要があります。自分でコントロールできないリスクの中でも、地震や台風などの「自然災害」に関するリスクは予測しづらいものです。
そもそもリスク (risk)という言葉自体は、「危険」でも“予測可能な”という意味を持っています。ただ、「自然災害」に関するリスクは「危険」でも“予測できない”=デンジャー(danger あるいは hazard) に近いものだと認識できます。
どのように「災害リスク」に対応する?
不動産投資は長期投資を前提に検討を重ねますから、厳密に災害リスクを検討しようとしても、限界があるでしょう。
また、不動産は他の投資よりも流動性(換金性)が低いですが、そのものの価値が高い資産です。投資するにしても大きな資金を投入する・・・。つまり、大きな資産価値を保有することになりますから、ひとたび大きな自然災害に見舞われると、保有不動産自体の損傷もそうですが、周辺環境が一変することで資産価値が大きく減少し、場合によっては、価値がゼロになってしまうことにもなりかねません。
自治体により異なりますが、投資用不動産の場合、自宅などの居住用不動産よりも、災害後の公的補償が少ないケースが多いので、「損害がどれくらいになるか?」を知ることは大切でしょう。ただ、それはとても難しいと思います。
地域の危険を知るためにハザードマップを活用しましょう!
そこで、最低でも事前に「どのような災害に見舞われそうか?」「その善後策はどうすればよいか?」は知っておくべきです。
例えば、洪水で浸水してしまうと予想される「浸水予想区域」に賃貸アパート等の不動産を保有している場合、地盤を上げられればベストかもしれませんが、費用などの問題もあり、簡単ではないでしょう。
万全な準備ができなくとも、最悪のケースを防ぐために土のう等を用意しておくなど、できる範囲内で対応をしておけば、入居する賃借人の安心感は変わってくると思います。
投資家の中にもこのようなことを当然認識はしている、という人は多いと思いますが、しっかり対応している人は意外と少ないです。
これから不動産を購入されるのであれば、その不動産自体の耐久性や耐震性など質的条件だけではなく、災害リスクを含めたその周辺環境もしっかり調べるべきです。また、既に不動産を保有しているのであれば、今お持ちの不動産がどのような災害リスクを負っているのか? を再確認することにより、事前に対応策を検討することができます。
災害リスクを確認するために活用できるのが、「ハザードマップ」です。
ハザードマップとは、地方自治体ごとに、洪水や津波、火山の噴火などの自然災害の発生を想定し、地域の住民が安全に避難できるよう被害の予想区域や程度、避難場所などを示し作成した地図のことです。
各地方自治体の窓口で配布されており、ホームページでデータをダウンロードすることもできます。また、国土交通省ハザードマップポータルサイトでは、全国各地の、洪水、内水、高潮、津波、土砂災害、火山の災害を想定したハザードマップ(下表参照)を確認することができますから便利です。
ハザードマップの種類と内容
種類 | 内容 |
---|---|
洪水(内水)ハザードマップ (浸水予想区域図) |
予測される浸水の区域と水深 |
高潮ハザードマップ (高潮警戒区域図) |
海岸線および河川両岸で、気圧の低下による波浪で浸水する可能性 |
津波ハザードマップ (津波浸水予測図) |
想定される津波(最大)が発生した場合の浸水深と危険度 |
土砂災害ハザードマップ (土砂災害危険区域図) |
土石流、急傾斜地の崩壊、地滑りなどの土砂災害について →法改正により、近日予定 |
火山ハザードマップ (火山災害予想区域図) |
火山ガス、噴石、火山灰(降灰)、降雨時の土石流、火砕流・熱風など |
地震ハザードマップ | 地震の揺れによる建物倒壊(建物倒壊危険度)や火災の危険性(火災危険度)などを指標化 |
ハザードマップは、過去に起きた自然災害のうち最大の大きさや被害のケース等を想定して作成されています。
従って、想定を超える激甚災害が発生する可能性も視野に入れ、ハザードマップに記載している以上の危険も想定しておく必要があるでしょう。
ハザードマップの内容は、随時更新されますから、定期的に確認すると良いでしょう。
賃貸経営の観点から
そもそも現物不動産投資は、借りてくれる賃借人がいてくれてこそ、成立する投資です。その不動産を利用する賃借人にとっても、常に保有不動産が受ける自然災害と隣り合わせです。
ハザードマップには、災害に関する危険度のほか、避難所、災害対策本部、防災行政無線、備蓄庫、救急指定病院、消防署、警察署などの所在も記載されています。
被災後の再建や被災に備えた対応なども含め、自然災害に対するこれらの情報をオーナーから適宜提供できれば、賃借人との良好な関係を保てます。
人口減少社会下での不動産投資は、賃借人との信頼関係が大変重要になるでしょう。
そういう意味からも、今回のハザードマップ等を活用し、賃借人目線に立った賃貸経営を行いたいものです。