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個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは。
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは、自分で作る年金制度のことです。
加入者が毎月一定の金額を積み立て(掛金を拠出するといいます)、あらかじめ用意された定期預金・保険・投資信託といった金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。
税制優遇のメリット
- 積立金額すべて「所得控除」の対象で、所得税・住民税が節税できます。(掛け金が全額所得控除されます)
- 運用で得た定期預金利息や投資信託運用益が「非課税」になります。(運用益がまるまる残ります)
- 受け取るとき「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象です。(税制優遇措置がある)
①の「掛け金分が節税になる」点ですが、得をしやすいのは高所得者です。反対にあまり得をしないのが低所得者です。
「所得控除」とは、掛け金分、税金額が減るということではなく、課税対象所得が減るということです。掛け金の金額(控除額)に自分の所得税率を掛けたものが実際の節税額です。
累進課税制度の適用されている所得税の仕組み上、高所得者が得をしやすい構造になっているのです。
②の「利益が出ても課税されない」という点ですが、投資対象のほとんどは投資信託です。
投資信託に投資をして、利益が出るかどうかは神のみぞ知るところ。。実際は投資の神様でさえ、将来の利益を確定させることはできません。まだ手にしてもいない利益について考えるより前に、損をしたらどうなるのか?という視点も持っておく必要があります。
③の「将来、年金として受け取るときに節税できる」点ですが、税制は常に変化します。将来の税制は現段階ではわからず、税制優遇措置が年金を受け取る際にも継続されているかどうかは定かではない、という点を頭に入れておく必要はあるかと思います。
またiDeCoには、その他の加入するにあたって注意すべき点もあります。
デメリット
- 投資で利益がでるかどうかは不確定。
- 流動性(換金性)がない。
- 対象となる投資商品が少ない。
①の「利益がでるかどうかは不確定」という点は、当然ですね。ただし、利回りが低いものの、定期預金タイプも一部あります。
②の「流動性がない」は、留意すべき点であると感じます。通常、金融商品は、自分の好きなタイミングで現金化することができます。しかし、iDeCoでは60歳にならないと資金を取り出すことができません。将来手元の資金が枯渇した場合にも、解約することができないのです。頑張って積立をするのはいいのですが、将来の資金計画をしっかり理解する必要があるでしょう。
例えば、子供の教育資金の支払いと住宅ローンの支払いが重荷となる40代や50代の時に、手元にお金がないばかりに、住宅ローンの支払いが滞る可能性もあり得るということです。教育資金が支払えず、やむなく借入や奨学金を利用する必要がでてくる、なんてことになれば、何のための資産運用か分からなくなります。
iDeCo(イデコ)は誰でもできる?
日本在住の20歳以上60歳未満の方であれば、原則誰でも始めることが可能です。
個人型の確定拠出年金に加入するには、まず、取り扱っている金融機関(運営管理機関)を自分で選んで専用の口座を開設する必要があります。ちなみに企業型では、勤め先(事業主)が運営管理機関を選んでおり、自分で選ぶことはできません。
運営管理機関には、銀行や信用金庫、証券会社、生命保険会社などがあります。その数おおよそ200。国民年金基金連合会のウェブサイトで、そのリストを確認できます(https://www.ideco-koushiki.jp/operations/)。
「どこを選んでも同じじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実際のところ、それぞれの運営管理機関によって商品のラインナップや手数料などが大きく異なります。
確定拠出年金での運用は長期間に渡ります。手数料の高い商品や運営管理機関を選んでしまうと、最終的に数百万円違ってくるということもありえますので、注意しましょう。
iDeCo(イデコ)はいくらからできる?
月額5,000円からはじめることができます。それ以上積み立てたい場合は1,000円単位で上乗せできますが、下表のとおり加入者のご職業等によって上限金額が定められています。
職業 | 上限金額 |
公務員 | 月額1万2000円 |
会社員(企業年金あり) | 月額1万2000円・2万円 ※1 |
会社員(企業年金なし) | 月額2万3000円 |
専業主婦・専業主夫 | 月額2万3000円 |
自営業 | 月額6万8000円 ※ |
- ※1 企業年金の種類によって異なります。
- ※2 国民年金基金や付加保険料と合わせて6万8000円が限度となります。
- ※2 国民年金保険料が未納の月は掛金を納めることはできません。
自営業者の場合、掛け金は月額6万8000円までとなっていて、他の職業の人と比べると上限額が高めです。これは、会社員や公務員は国民年金と厚生年金の両方がもらえるのに対し、自営業者は原則、国民年金しかもらえないためです。その分老後資金を多めに準備できるよう、iDeCoの掛け金の上限額を高く設定しているのです。
専業主婦・主夫は月額2万3000円、公務員は月額1万2000円が上限となっています。
会社員の場合はちょっとややこしくて、勤務先の企業年金制度の有無などによって上限額が異なります。
まず、勤務先に企業年金(企業が会社員に対して年金を支給する制度)がない会社員の場合、掛け金の上限額は2万3000円となっています。
また、勤務先に確定給付企業年金(企業が会社員に給付する金額を決めているタイプの企業年金)がなく、企業型確定拠出年金(企業が掛け金を出して、会社員が運用するタイプの企業年金)に加入している会社員の場合は、2万円が上限となります。
さらに、確定給付企業年金はあるが企業型確定拠出年金がない会社員や、確定給付企業年金と企業型確定拠出年金の両方に加入している会社員の場合は、1万2000円が上限です。
注意したいのは、すでに企業年金に加入している人がiDeCoに加入するケースです。企業型確定拠出年金で会社員が掛け金を出していたり、企業年金の規約(ルール)でiDeCoの同時加入を認めていなかったりすると、iDeCoに加入できません。実際に自分の掛け金の上限がいくらになるのか、勤務先の担当部署(総務・人事担当など)に確認しておきましょう。
これも覚えておこう
- 掛金拠出の休止・再開はいつでも可能です。
- 納付方法は、ご本人口座から引落し、または給与天引きが選べます。
- 口座引落し日に残高不足の場合、その月は未納となります(追納は不可)。
- 掛金の変更は、毎年1月~12月(引落しベース)までの間に1回だけ可能です。
iDeCo(イデコ)のお金をもらうときは?
60歳以降にまとめて一括でもらう、または分割でもらうことができます。
なお、万が一60歳より前に高度の障害になってしまった場合や、死亡してしまった場合には、その時点でもらうことができます(死亡の場合は遺族がもらいます)。
50歳以上の方はこれも覚えておきましょう
- 受給開始年齢は通算加入者等期間によって異なります。
- 通算加入者等期間は個人型年金および企業型年金における加入者・運用指図者の期間の合算となります。
通算加入者等期間 | 受給開始年齢 |
---|---|
10年以上 | 満60歳 |
8年以上10年未満 | 満61歳 |
6年以上8年未満 | 満62歳 |
4年以上6年未満 | 満63歳 |
2年以上4年未満 | 満64歳 |
1ヶ月以上2年未満 | 満65歳 |
以上、iDeCoのメリットとデメリットについて記載しましたが、老後資金をしっかり作りたいなら、将来の自分や生活のためにも、iDeCoの活用を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。