不動産

一法人一物件スキームは危険なので止めましょう

MATSUD0です。不動産屋、不動産投資家の端くれをやっています。

フラット35の住宅ローン不正利用スキームのよりも少し前の話題ですが、、今回はりそな銀行のニュースから最近話題の一物件一法人スキームについてです。そもそもこの「一物件一法人スキーム」何のことか、と言うところからまとめてみました。

一物件一法人スキームとは

簡単に言うと、一つの金融機関に対して法人(おもに資産管理法人)を一つ設立して、その法人名義で物件を購入するという手法です。

不動産業界では割と昔からある手法の様です。金融機関の融資がじゃぶじゃぶだった2015年前後から一気に広まっていき、ご年収1,000万円~の高属性の方をメインにして盛んにおこなわれていました。

一物件一法人スキームのメリット

「なんで一つの金融機関に一つの法人?一つの法人でまとめて買えば良いじゃん」と思うかもしれません。ここで、なぜこのようなことをするかについて。

保有物件を一気に増やすことが出来る。

例えば、1億円を借りられる属性の人が、ある金融機関に融資を申し込めば1億円借りられますが、個人が法人の連帯保証人となります。ここで、この人は1億円しか借りられないので、通常であれば融資はこれ以上受けられません。そして、法人で1億円の融資を受けたので、1億円借入れがあるということがCIC,CICC,全銀協といった信用機関に信用情報が載りますが、連帯保証人である個人は載りません。(金融機関によっては個人も載ることがあります)

ここで新規の法人を新たに作ります。すると無借金状態の法人ができるので、違う金融機関でまた同じように1億円を申し込んでいきます。このスキームを一気に複数の案件でやることで一気に資産を増やすことが出来るわけです

この手法が成り立っていた要因は、「1人が複数法人を所有することはない」という前提に基づいて銀行側が融資をしているためです。

銀行側が融資審査の際に「あなたは他にも法人を所有していませんか」ときちんと確認を取っていれば、ここまでこのスキームを使っての融資は広まらなかったのですが、こういった質問をされること自体が少ないため、借主も「審査で聞かれなかったからあえてそれを言わなかった」ということで次々と法人を立てて融資を受け続け、急速に物件取得を進められたという事です。

りそなの件以降、「私はこの会社以外には法人を持っていません」という覚書を融資審査の段階で書かせることで抑止力としている金融機関も出てきているそうですが、効果はいかほどでしょうか・・。

一物件一法人スキームのデメリット

一物件一法人スキームの最大のウリである一気に物件規模を拡大できるという件ですが、もちろんデメリットもあります。

新設法人は金融機関の融資条件がかなり厳しい。

一見メリットが大きいように見えるこのスキーム。もちろんやるのはNGですが、実際やってもあまりうま味は無い気がしています。

立ち上げたばかりの法人は借入時の制約が多いです。新設して間もない法人は信用力が低いため、投資経験のある個人で借りる場合と比べて金融機関の選択肢自体が少なく、融資の条件も厳しいものとなります。

一物件一法人スキーム事件が発覚して以降厳しくなっているというのもありますが、そもそも最近の渋い融資事情では、このスキームは難易度が高いです。

法人を作る度に数十万円の初期費用とランニングコストが発生する。

新設法人は設立する際にも、それを運用していくにもコストが発生します。まず、初期費用として法人設立時の登記費用や印鑑代など、会社設立のためのコストが1社あたり25~30万円ほどかかることになります。

またこの法人を運営していくために、年間のランニングコストも発生します。大きくは以下二つ。

  1. 決算処理:1社につき毎年約20~30万円
  2. 法人住民税:毎年約7万円

法人住民税は確定でかかります。決算処理は自分で行う事も可能ですが、個人の確定申告作業と比べると難易度が高く、自分で対応するのは現実的ではありません。結果として税理士に外注することとなり、年間で1社あたり約25~30万円ランニングコストがかかってきます。

一括返済を求められる。

楽待新聞などによると、りそな銀行を筆頭にして各種金融機関がこの問題に着手しているようです。実際に発覚した場合には、金融機関から物件の即時売却を求められる可能性があります。

もし対応が出来ない場合には「期限の利益喪失=一括弁済」となるか、返済金利を6%などに引き上げるか、悪質な場合には民事訴訟対象となるリスク、最終的には破産となるリスクが高いと考えられます。

実際に「返済を求められた!」、「金利の引き上げを要求された!」などと言った事例はまだ出てきてはいませんが、今後(見せしめに)出てくる可能性は十分にあります。

二重売買契約、エビデンス改ざん、カーテンスキーム、フラット35不正利用など、多くの不正がニュースとなって騒がれています。融資が付きづらく不動産全体に向かい風が吹いている時代ですが、資産拡大に向けて正攻法で頑張っていきましょう。

「がんばる いらすとや」の画像検索結果
ABOUT ME
matsud0
セレブな街を中心に活動する不動産屋、兼、不動産投資家、兼、Uber Eats配達員、兼、株式投資家、兼、ブロガー。元々は数千人規模のシステムエンジニア。不動産ネタをメインにお金に関する記事を書いています。